【書評】アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のために(著:平木典子)

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アサーションという言葉は、普段はあまり耳にすることがないかもしれない。

自己表現の仕方が大きく3つあるとされており、その1つがアサーティブな表現となる。他の2つは、攻撃的な表現、そして受動的な表現である。

会話における表現をアサーティブにしていくこと、それをアサーションと呼んでいる。

アサーティブな自己表現とは何か。攻撃的でもなく受動的でもなく、両者のいいとこどりの手法である。

自己表現をしようとすると、ともすれば一方的な言い方になりがちではないだろうか。えてしてその言い方は攻撃的である。

逆に、相手の感情を害さないように、ということを最優先に考えると、言いたいことが言えなかったり、何も言えなくなったりしたことがないだろうか。これが受動的な自己表現ということになる。

アサーティブな表現方法を身につけると、相手の感情を害さないように心がけながら、自分の考えを相手に伝えることができる。

ちょっとした一言が、思いがけず大きな影響をもち、ハラスメントと言われてしまうこともある時代に、非常に役立つスキルではないだろうか。

表現することに恐れやためらいを感じている方には、心強い支えとなる本である。三訂版が、11年ぶり二度目の改訂を経て出版されていることから、多くの方に求められているスキルとなっていることが伺える。

一度は目を通してみてほしいし、他の人にもぜひ学んでもらいたいと感じるのではないかと思う。

攻撃的なコミュニケーションをされる方にも、アサーションを身につけてもらうことができれば、言うことなしである。

近年の、なんでもハラスメントになる風潮に対して、攻撃的なコミュニケーションはあまりにも危うい。

ただ、攻撃的なコミュニケーションをされる方は、相手の感情を害さずに伝える、という点については、無関心な方が多いと感じる。

アサーションは、この時代だからこそ、重要な手法である。まずは自分からとはなるが、アサーションが今後も少しずつ広まり、定着していくことを願いたい。

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