【書評】キャリアカウンセリング再考(編:渡辺三枝子)

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「再考」とあるが、これからキャリアコンサルタントを目指す方にとっても有用な本。

キャリアコンサルタントを目指すにあたって、「カウンセリング」というものに初めて触れる方もいるだろう。カウンセリングはキャリアカウンセリングからスタートしたともいわれているが、初めての方にはピンとこないかもしれない。

キャリア相談という業務において、カウンセリングという手法がなぜ取り入れられているのか、内容の理解と、手法に対する自身の距離感について整理しておく必要があるように思われる。(実務上はカウンセリング以外の対応をする場面も多い。)

専門家への一歩を踏み出すにあたり、誰しも多くの不安が生まれてくる。本書では、一歩めに誰しもが抱く不安が、すべて列挙され、解決されているといっても過言ではない。

基礎的な専門用語、「カウンセリング」「傾聴」についても、何も学んでいない状態で知っておくべき内容をまとめているトピックもあれば、実務経験を積んだ方向けに、より厳密に定義した上で説明されているトピックもある。

一般的な援助や働きかけとの差異、企業での活動において発生する矛盾への対応など、実務を行なっていく中で、割り切れない思いになるシチュエーションについて、丁寧にフォローされているのが、ありがたい。

本書からは、著者たちのキャリアカウンセリングに対する真摯な姿勢が伝わってくる。

そしてこれは、今後、キャリアカウンセラーとして活動していく、われわれ読者が、クライアントの方々へ示すべきキャリアカウンセラーの態度を体現しているようにも感じられる。

通して読むにはボリュームがあるが、個別のトピックは短くまとめられている。日々の対人支援の合間に、軽い気持ちで手に取って、目につくトピックを読んでみる。新たな発見や気づきがうまれ、気持ちの整理にもつながるだろう。

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