キャリアカウンセリングの事例集。単なる事例集にとどまらず、凝った構成となっており、様々な使い方ができる優れた本。
24の事例が掲載されており、1つ1つの事例については、カウンセリングの導入から10〜15分程度の会話が、逐語録で記載されている。
クライアントと向き合い、相談を行っているまさにその最中に、カウンセラーがどのように感じ、考えながら進めているのかを、逐語録の時間経過と合わせて記載されているのが特徴。
ロールプレイング訓練でのフィードバックは、やりとりが最後まで終わってから行われることも多く、特に導入部や前半部分での迷いについて、フィードバックから漏れてしまうことがある。
そういった、初学者が迷いやすいところに手が届く設計となっている。
本書に登場するクライアントの年代は、高校生から定年直前まで幅広い。各年代の典型的な悩みの傾向は予備知識として頭に入れておきたいもの。中にはトリッキーな事例もあるものの、その幅広さがリアルとも思われる。
実際の悩みは千差万別であり、出会う可能性が低めのものも含め、幅広く準備をしておくということも意義のあることであろう。
各事例の最後には、カウンセラーの見立てが記載されている。続けて読んでしまっても勉強にはなるが、できれば、事例を読んだ後で一旦立ち止まり、まず自分で考えてみてほしい。その後、記載されている見立てを読むことで、発見があり、より身につくように思われる。
また、事例を音読するのもおすすめ。カウンセリングのペース感を掴むことができるし、カウンセリング的な話し方を色々試すことができる。
実技試験の口頭試問や論述の練習教材としても使いやすいので、いろいろな形で、すみずみまで使い倒して欲しい一冊である。
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