【書評】50歳からの人生がもっと楽しくなる仕事カタログ(著:片桐実央)

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「仕事カタログ」の名のとおり、非常に多くのお仕事が紹介されているのが最大の特徴。どのお仕事も、業務内容だけでなく、「ここがポイント」として、実際に仕事を始めたときにつまずきがちなポイントを書いてくれている。その仕事に向いているかどうか、自分でもある程度は判断できるようになっているのが、秀逸。

「起業した方の例」として、起業時の年齢、初期投資、起業当初の月商を記載されている仕事もある。自分が希望する仕事のリアルなところは、得難い情報。すべての仕事にあるわけではないのは残念だが、それでも類書に比べると、かなりの数。ピンポイントの仕事探しだけでなく、リアルなシニア起業がどういうものか、幅広く知るのにも役立ちそうだ。

内容としては、まずP A R T1、仕事選びのやり方から。複雑な自己分析ではなく、シンプルにまとめられ、しばらくビジネスの現場から離れてしまったシニアの方にも、無理なく入っていけそうだ。3つの項目を円でイメージし、3つの円が重なる仕事を目指していく。できることの棚卸、やりたいことの洗い出し、お金になるかの判断、へと進む。

長く仕事を続けるための、5つの「ゆる起業」ルールというのも面白い。ルール5「健康がいちばん」は、シニアならではとも思える。もちろん、体力に自信のある世代であっても、自分が中心になって働くには健康第一である。大切なルールだ。

P A R T2の仕事紹介は、約160ページ、全体の8割を占める。紹介されている仕事の種類は多いが、仕事の特性に応じて分類され、見やすくレイアウトされている。読んでいても負担はない。

P A R T3では、シニア起業の基礎知識がまとめられている。ここではお金の話から入るのだが、助成金、補助金、クラウドファンディングといった分野から入る。本書全体を通して、起業には(額はともかく)お金はかかる、ということを外さない。自己資金を注ぎ込んだものの、資金切れで廃業、などとならないよう、お金集めの部分から始めるのは、筆者のやさしさを感じさせる。

「気をつけたい8つのこと」リストもさすがだ。本書の最後は、「家族の協力を得てから始めよう」で結ばれている。「ゆる起業」であっても、継続できることを前提に寄り添う姿勢が心強い。「ゆる起業」を目指す際には、ぜひ一度、筆者に相談してみたいと感じられた。

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