働きたいけど働けない。
そんな若者の支援をおこなっているN P O法人育て上げネットから、働けるようになった若者たちの声が集められた。
8000名以上の働けない若者たちと向き合ってきた中から、6名の事例が掲載されている。
どの若者からも上げられているのが、「人間関係」について。
人間関係を築くことに恐怖心を抱くと、働く場にたどり着くまでは、かなり遠い道のりとなる。
同法人のサポートを受け、彼らは無事に社会に入り、「働く」ことができるようになった。
それでも「人間関係」の恐怖から解放されたわけではなく、場合によっては、正社員化を断ったり、異動を断って退職したりする。
団塊世代や団塊ジュニアは、ともすると替えが効く存在として、過度に厳しい扱いを受けてきたきらいもある。
そうして育ってきたリーダーたちは部下たちに同じように接してしまうかもしれない。
しかし、深く傷ついてしまった若者は、「働く」ことに恐怖を感じ、もう社会に戻ってこない。つまり今後の若年層減少の中でさらに人材難が深まるということだ。
本書では、「働く」ことをスタート(再スタート)させることができたことに焦点を当てている。まず初めの一歩として、大変嬉しいことだ。
ただし、その後の状況や待遇面の詳細については本書では触れられていない。
本書の若者たちは金銭面以外の喜びについて多く語っており、必ずしも金銭的な部分のみが「働く」ことの価値ではないと気付かされる。
その上で、待遇面についても、十分なものが得られるようになっていくことを願いたい。
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