【書評】完訳7つの習慣(著:スティーブン・R・コヴィー)

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1989年の初版以降、世界で4000万人が読んだ、現代の人生のバイブル。日本での出版20周年を機に、完訳版として再出版された。さまざまな判型のものが出版されており、幅広い分野の人たちに愛され、さらに広がりを見せつつあることが感じられる。

本書はいわゆる自己啓発書として大変著名であり、名前を聞いたことがある方も多いのではないだろうか。その内容は、決して怪しくはなく、至極真っ当な内容が、著者のエピソードや過去の偉人の言葉を引用しつつ綴られている。

これらのエピソードを小説として読むならば、真っ当な内容ですね、で終わり。なんなら、かなり手垢のついたストーリーだ。1つ1つの習慣ごとに、さまざまなエピソードをいくつも紹介しているので、初めから順に通して読むと、食傷気味に感じることもあるかもしれない。しかし、要点は7つであり、それを頭に置くと、人生において重要な内容が、大変よく整理されて提示されていることがわかる。

7つの習慣は、3つ+3つ+1つからなっている。私的成功3つ、公的成功3つ、この6つのバランスをとりつつ更なる向上を目指す最後の1つ、これで7つとなる。第1の習慣「「主体的である」、第5の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」などは、キャリアコンサルタントに必要な態度とも近いのではないだろうか。

まだ読んでいない方は、ぜひ一度手に取ってみていただきたい。自己啓発本に対して、斜に構えてしまう方にこそ、この完訳版を読んでみてほしい。完訳版では、著者がよく受ける質問についてのQ&Aが最終章にまとめられている。まさに聞きたい質問だらけであり、中でも、著者自身も7つの習慣はまだ完全には実行できていない、と述べているのが面白い。また、巻頭には、ビジネス系のさまざまな著名人が推薦の言葉を寄せている(かなりのボリューム)。何人か知っている人もいるだろうし、ここから入っていくのも面白いだろう。若い頃に読むのも有用だが、大人になってから読むのも味わい深い、そんな一冊だ。

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