【書評】解決志向リハーサルブック(著:龍島秀広、阿部幸弘、相場幸子)

books

心理支援法の1つである、解決志向アプローチ(S F A)についての入門書。各章の最後にはワークが記載されていて、「リハーサルブック」の名のとおり、模擬体験をしながら学んでいける。ワークは、入門者・初心者向けと中級・上級者向けが明記の上、紹介され、さらに一人ワークも紹介されている。

一番初めのワークは「問題を聞かずに問題を解決する」。いきなり、S F Aらしい設定。問題志向・原因解明でやってきた立場からは驚くしかないが、実際にこのワークをクライアントとして体験することで、S F Aに慣れていない方でも、その効果を実感することができるという。

S F Aの基本的な手法から応用的な手法まで、12章に分けて、解説とワークが順に提示される。問題解決と解決構築、リソース探し、スケーリング・クエスチョン、ミラクル・クエスチョンと、これぞS F Aという手法へと進められていく。どのワークも特別な準備は必要なく、複数に集まれば試してみることができるので、ぜひ体験してもらいたい。テーマによっては一人ワークのやり方も説明されているので、仲間を募る前に自分で試してみることもできる。

インスー・キム・バーグの話が多く出てくるので、インスーの著書の実践編として読んでもいいかもしれない。もちろん本書だけでも、日常の対人支援で使ってみるには十分な説明がなされている。S F Aは何より実践だと思われるので、どんどん使ってみていただきたい。

各章の最後にはコラムが掲載されており、著者の方々のリアルな苦労話・失敗談を知ることができる。実践家の方にはこれも役に立つ部分ではないだろうか。教育や介護・福祉に携わる方も寄稿されており、広く対人支援に関わる方々に実践の参考になるものと思われる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました